タイで“SHIOPAN”旋風——絶妙な塩気と甘みが人々を魅了する、日本発パンの現在地

タイで“SHIOPAN”旋風——絶妙な塩気と甘みが人々を魅了する、日本発パンの現在地

1. SHIOPANとは何か——“塩とバター”の設計美

塩パン(shio pan)は、日本発祥のロールパン。成形時にバターを生地に包み、焼成中に溶けたバターが内部の空洞と底の“カリッ”を作る。噛めばミルキーな甘い香りがふわっと広がり、表層に散らした粗塩が味を締める。派手なトッピングはなく、素材と火入れだけで勝負する“引き算のパン”だ。


ルーツは日本・愛媛のベーカリー「パンメゾン」とされ、夏に食べやすい塩分補給の発想から生まれた軟らかなスタイルが現在の主流に繋がっている。Time Out Tokyoc3a.org.sg



2. なぜ今タイで“静かなパン戦争”が起きたのか

2025年春、タイムアウトは「バンコクではいま、素朴な塩パンをめぐって静かなベーカリー戦争が起きている」と報じた。韓国旅行で出合った“소금빵(ソグムパン)”の逆輸入、SNSの拡散、そして“派手さより完成度”へと向かうバンコクの食嗜好の成熟が重なったと分析する。トレンドはニッチを超え、クールなカフェや職人ベーカリーから一般的なスーパーにまで浸透している。Time Out Tokyo


さらに、フードデリバリーでも需要は顕著だ。GrabFoodのタイ向け公式プレスは、2025年の注目トレンドの一つとして「海外発メニューのローカライズ」を掲げ、塩パンの検索が直近四半期で66倍に急増したと公表。FOMO(取り残されまいとする心理)とSNSの相乗効果が、屋台から高級店までを巻き込む拡散エンジンになっている。Grab



3. バンコクで“どこで買える?”:エリア別・業態別ガイド

市内では、日系〜ローカル系まで幅広い店が塩パンを展開。以下は英語メディアの特集を基点に、「買いやすさ」「スタイルの多様性」を軸に整理したショップ例だ(最新の取り扱いは各店のSNSで要確認)。

  • Koji Bakery House/Wabi’s/Eric Kayser/Loafy & Co. ほか:王道〜アレンジまで揃う、いま“塩パン目当て”の来店が多い顔ぶれ。ライフスタイルアジア

  • Custard Nakamura/Shokupan Thonglor ほか日本系ベーカリー:食パンやメロンパンと並び、塩パンが“定番格”へ。日本的な生地感・甘み設計に慣れた人にも向く。ライフスタイルアジア


トレンド紹介記事は、デンマーク系や仏系の名店まで含めた“越境”の広がりも示す。日本系以外が日本発パンで腕を競うのも今ブームの面白さだ。ライフスタイルアジア



4. 価格帯と“買い方”:ローカル目線での実用情報

ローカルの実食レビューでは、30〜39バーツ台の“手に取りやすい価格”の例が増えている。まとめ買いしてエアフライヤー/トースターで温め直す食べ方も定着。旅行者なら、BTS駅近やコミュニティモール内ベーカリーでの“はしご買い”が効率的だ。note(ノート)+1



5. 「良い塩パン」の見分け方——バランスがすべて

タイムアウトは、ブームの陰で“油っぽい・塩辛すぎる・乾燥し過ぎ”のハズレ品も出回る現状を指摘する。一方で、外殻の薄いパリッ/内部の軽い空洞/底の香ばしさが合致した一体感は“中毒性”があり、人々が完璧な一個を追い求め続ける理由だという。店を跨いで食べ比べるなら、この三点を基準にすると失敗が少ない。Time Out Tokyo



6. “バンコク流リミックス”:チーズ、柚子バター、トリュフ

現地の名店は、ベースの塩パンにクリームチーズ/柚子バター/トリュフなどを合わせる“甘じょっぱい”応用を展開。素材の選定と塩の粒度、バター含有量のチューニングでキャラクターが際立つ。ベースがシンプルだからこそ、微差が“大差”になるのが塩パンの面白さだ。Time Out Tokyo



7. どう温める?——ベストな“再現”のコツ

  • 外カリ・中ふわの再現には、トースター/オーブン170〜190℃で3〜5分が基本。底の香ばしさを蘇らせるため、余熱をしっかり。

  • エアフライヤーは160〜170℃で2〜3分から。過加熱は油浮きと乾燥の原因。

  • 追いバターはごく少量。塩の“締まり”がぼやけるので振り過ぎ注意。
    (※上記は一般的なベーカリーの焼成特性から導いた経験則。店舗推奨があればそちらを優先。)



8. ハラール・ベジ対応は?

バター(乳)を使うためヴィーガン不可が基本。ハラール対応は店ごとに調達・調理環境が異なる。気になる人は植物性スプレッドハラール認証バターの可否を店に確認を。日本式の“出汁系具材”が入らない点は、タイの多宗教社会でも受け入れられやすい要因だろう。



9. 観光客向けミニ会話帳(ローマ字付き)

  • これ、塩パンですか?/Shio pan mai khrap/kha?(これ=Nee)

  • 温めてもらえますか?/Kun chuay warm dai mai?

  • テイクアウトで/Ao klap baan khrab/kha.

  • もう少し塩が弱いものは?/Mii rot kem noi kwaa mai?

  • 何時に焼き上がりますか?/Suk gii mong?



10. 似て非なる“アジアの塩パン”たち

アジア各地で“塩パン”人気が再燃。シンガポールではShio & Satoなどの専門店が台頭し、各国のメディアが特集を組む。東南アジアにおける“日本式パン”の広がりは、タイだけの現象ではない。比較対象を食べ歩くと、塩の粒度/乳脂のコク/甘みの設計の違いがはっきり見えて楽しい。womensweekly.com.sg



11. サプライチェーンとビジネスの示唆

66倍検索という指標は、“頻度高・低単価”の購買行動(朝食・おやつ・差し入れ)を示唆する。熱狂の初期は“映える派手スイーツ”が主役になりがちだが、塩パンは日常の反復買いに向く。店舗にとっては


  • ロスを抑える小ロット高回転の焼成計画

  • 客単価を上げる充填系(あんバター、チーズ)とのバンドル

  • 再来店を促す**“焼き上がり時刻”の明示**

    が鍵になる。メディアの分析が述べるように、バンコクの嗜好は“派手さ”から“完成度”へとスライド中。塩パンの成功は、この価値観の転換と親和的だ。Time Out Tokyo



12. どこで情報収集する?

英語圏のLifestyle Asiaは、バンコクの“買うべき塩パン”と“日本系ベーカリー”を継続的にまとめている。店探しの地図代わりにフォローしておくと便利。Instagramの**@TimeOutBangkok**アカウントも、トレンドの熱量をつかむのに向いている。ライフスタイルアジア+1Instagram



13. まとめ——“甘じょっぱさ”がつなぐ、日常のご褒美

塩パンは、甘・塩・油脂・香ばしさという人間の根源的嗜好を、小さな一個にほどよく束ねる。だからこそ、派手な見た目を持たずとも、買って、温めて、何度でも繰り返したくなる。タイの人々がそれを“新しい日常の定番”として選び始めた――それが2025年のバンコクだ。次の旅行でぜひ、「自分史上いちばんの一個」を探す塩パンツアーを。